粉瘤・脂肪腫

粉瘤とは

粉瘤は皮膚の下にふくろ状の組織ができ、そこに老廃物がたまった良性腫瘍です。全身どこにでもできますが、顔、首、背中、耳の後ろなどにできやすい傾向があります。中央に黒点状の開口部があることが多いです。アテロームと言われることもあります。豆腐粕のようなものでくさいこともあります。炎症を起こしてしまうと赤く腫れて痛みを生じます。必要に応じて超音波検査を行い、血管との距離やしこりの状態をみます。手術を行う前の診断をしっかりしてから、治療の計画を立てていきます。

このような症状が
ありましたらご相談ください

粉瘤のできる場所や大きさは様々です。皮膚下のしこりや違和感に気付いたら、速やかにご相談ください。

粉瘤と脂肪腫の違い

脂肪腫は、薄い膜に脂肪の塊が包まれたものです。一方、粉瘤は、袋状の組織に垢や皮脂等の老廃物がたまったものです。どちらも徐々に大きくなっていきます。全く異なる良性腫瘍ですが、大きくなったら皮膚を隆起させることは似ています。

視診

粉瘤は、皮膚表面の浅い層にできやすく、老廃物が透けて見えて、全体的に青黒く見える場合があります。また、皮膚に開口部があることが多く、開口部が黒い点に見える場合があります。脂肪腫は、皮膚の深い層にできやすく、色の変化もほとんどありません。皮膚が隆起して見える場合があります。

触診

粉瘤は、皮膚に触れたら硬く弾力があって、しこりのような感じがあります。脂肪腫は、ゴムのような柔らかさがあります。

放置しておいた場合の経過

徐々に大きくなる場合が多いです。粉瘤は、炎症を起こすと赤く腫れたり、痛みを伴うこともあります。また、何かのきっかけで開口部から内容物が体の外側に出ると、独特の臭いを生じます。脂肪腫は、炎症を起こすことはほとんどありません。ただし、脂肪腫の中でも毛細血管を伴う血管脂肪腫の場合は、多発することがあって痛みを生じることがあります。

治療

どちらも手術以外の方法で、完全に治すことはできません。脂肪腫の手術では、脂肪腫の直上の皮膚を直線的に切開して、脂肪を包む膜を含んだ塊を全て摘出します。

切開法

粉瘤の一般的な手術法である切開法は、紡錘形に皮膚を切開して、袋を外側からそのままの状態で摘出する方法です。以前に炎症を起こしたことがある粉瘤は、周辺と分裂したり癒着したりする場合があります。サイズが大きい粉瘤も切開法を推奨しています。当院では、外来手術に対応しています。

くり抜き法

くり抜き法は局所麻酔の後に、粉瘤の中心に丸いメスで3~6mmほどの穴を開けます。内容物を穴から出して、袋の壁を切除後に丁寧に皮膚を縫い合わせます。傷の大きさや部位によっては、縫合しない方がきれいに治る場合もあります。6mmの穴を開けた場合は、10日~2週間ほどで傷が塞がります。縫合すれば、手術した後5~7日で抜糸することができます。当院では、外来手術に対応しています。

粉瘤の治療法について

粉瘤、脂肪腫、ガングリオンの見分け方

粉瘤とガングリオンは、発生部位で見分けます。ガングリオンは、関節の周りに発生することがあります。ただし、関節のところに粉瘤ができないわけではありません。正確な診断をするためにも、まずは受診をしましょう。

粉瘤と脂肪腫の違いについて

脂肪腫と粉瘤は、身体の至るところにできる可能性があります。そのため、発生部位は参考にならないです。ただし、粉瘤は浅い層にできる場合が多く、脂肪腫は皮膚の深い層にできます。見た目である程度は、見分けることが可能です。全体が青黒い、黒い点がある場合には、粉瘤である可能性が高いです。一方、色に変化がなく盛り上がっているものは、脂肪腫である可能性が高いです。明確な違いが分からないため、まずは受診していただいて診断を受けましょう。

下記の症状が出現したら粉瘤です

粉瘤は、内部の老廃物が独特の臭いを発生させる場合があります。圧迫されて、白いどろどろした内容物が出てくると独特の臭いを生じます。また、炎症起こしている場合も、強い臭いを生じる場合があります。ガングリオンや脂肪腫には、強い臭いはありません。独特の臭いがした場合には、粉瘤である可能性が高いです。粉瘤の炎症が進むと、激しい痛みを伴います。臭いに気付いたら、速やかに受診して治療を受けましょう。

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