慢性胃炎・萎縮性胃炎

胃炎でお困りの方へ

胃炎でお困りの方へ胃炎とは、胃に炎症が起こる状態です。急性胃炎と慢性胃炎があり、急性胃炎はみぞおち周辺の痛みや嘔吐、吐き気、吐血、下血があります。腹部所見や発症経過によって診断します。一方、慢性胃炎はみぞおち周辺のもたれ感や吐き気、痛み等があります。内視鏡検査により、胃粘膜に炎症所見を認めます。胃粘膜組織を検査して、病理組織学的に診断することがあります。急性胃炎の軽症では、胃薬による治療を行います。症状が強い場合は、内視鏡検査で胃の状態や原因を確認します。ピロリ菌がいたら、慢性胃炎になるため、ピロリ菌の有無も検査することが大切です。

胃炎の症状

胃炎には、腹痛や腹部不快感、嘔吐、吐き気、胃のむかつき等があります。自覚症状から診断されるものを症候性胃炎と呼びます。症候性胃炎の中には、内視鏡的にピロリ菌による萎縮性胃炎が原因のことも多いです。しかし、ピロリ菌除菌後も症状が残ってしまうことや、ピロリ菌胃炎を認めない、検査では明らかな異常を認めないのに症状が出現する機能性ディスペプシア(機能性胃腸症)の方がいます。胃腸の働きに問題がある状態です。症状に対する治療を受けましょう。

急性胃炎

  • 胸焼け
  • 痛が痛い(胃痛)
  • 腹部の不快感
  • 食欲不振
  • 膨満感
  • 吐き気・嘔吐
  • みぞおち周辺の痛み・不快感
  • 下血

など

慢性胃炎(萎縮性胃炎)

  • 胃が痛い(胃痛)
  • 胸焼け
  • 吐き気
  • 食欲不振(食欲がない)
  • 腹部の張りがある(腹部膨満感)
  • 胃が重い

など

※以上の症状気になる場合は、お早めに当院までご相談ください。また、無症状のこともありますので、定期的に健診を受けることをお勧めします。

急性胃炎

急激に症状が現れます。食中毒や風邪によって、胸焼けや腹痛が起こっている場合には、4~5日以内に治ります。治療の必要性がない場合もあれば、胃にいくつも炎症や潰瘍が起こっていて、出血するような急性胃粘膜病変まで様々な状態があります。

慢性胃炎

慢性胃炎は、月単位、年単位で胃粘膜に炎症が続きます。内視鏡検査によって、所見や採取した組織を確認します。病理組織学的検査で胃粘膜の組織に炎症性変化を認める場合でも、症状がないことがあります。また、炎症の程度や範囲も様々です。内視鏡検査を行わないと、判断することが難しいです。慢性胃炎によっては、持続的に胃粘膜に炎症が起こる結果、がんを発生しやすくなるといわれています。慢性胃炎の有無を確認するための検査や治療を受けられることは、胃がん予防という観点からも大切です。

胃炎の原因

急性胃炎

急性胃炎の原因には、様々なものがあります。中でも、薬の副作用によるものが多いです。痛み止めが胃を荒らすと聞かれたことはありませんか。痛み止めは、胃粘膜のバリア機能を下げる作用があります。そのため、胃が分泌する胃酸によって、胃自体が損傷を受けてしまいます。痛み止めを用いる際に、胃薬を併せて服用するのは、胃粘膜を保護するためです。それ以外にも、過剰なアルコール摂取や過剰な喫煙、アニサキス、ストレス等も原因になります。

慢性胃炎

慢性胃炎は、ピロリ菌感染が関係しています。ピロリ菌の感染経路は不明ですが、ほとんどが幼少期に感染します。長い間、持続的に弱い炎症が続きます。衛生環境の点から高齢者の感染率が高く、若年者の感染率は低い傾向にあるとされています。また、自己免疫性胃炎という胃の壁細胞が障害され生じる胃炎でも慢性胃炎の原因になります。慢性胃炎の炎症は、緩やかに進行し、自覚症状がない場合があります。

胃がんとピロリ菌感染

ピロリ菌感染により、胃に持続的な感染状態が起こると胃がんになります。ピロリ菌に感染したことがない胃の粘膜から胃がんが発生する頻度は1%以下です。一方、ピロリ菌陽性の胃からは、胃がんのリスクは5倍になります。ピロリ菌の感染は幼少期に起こり、無症状のまま経過します。胃カメラ検査によって、ピロリ菌が陽性の場合は、除菌すると胃がんのリスクが低下するため、無症状でも除菌治療を受けられることを推奨しています。ただし、除菌によって胃がんの発生リスクは1/3に減りますが、除菌後も胃がんのリスクはなくならないので、定期的に検査を受けましょう。

ピロリ菌検査・除菌

萎縮性胃炎と胃がん

ピロリ菌の感染等が原因で慢性胃炎になります。慢性胃炎が長期化すると、胃の粘膜が委縮して萎縮性胃炎になります。さらに、胃の粘膜の萎縮が進行すると、大腸や小腸の粘膜に似た状態の腸上皮化生が生じる場合があります。腸上皮化生の一部ががん化して、胃がんを発症するといわれています。慢性胃炎は、前がん病変と捉えられていて、胃がん予防をするためには、早期発見、早期治療が大切です。

胃炎の検査

急性胃炎の場合、まずは問診によって患者様の症状を伺います。発症前の飲食物や服薬状況、日々の食習慣等を確認します。病状によっては、胃カメラ検査を行います。また、慢性胃炎の場合は、胃カメラ検査を行って胃粘膜の状態を確認します。急性胃炎や慢性胃炎、それ以外の炎症を正確に診断して、早期に治療を行うことが大切です。当院でも、胃カメラ検査に対応しています。

胃カメラ

胃炎の治療

ピロリ菌の除菌治療や薬物療法、生活習慣の改善があります。

薬物療法

胃粘膜を保護する薬や胃酸分泌を抑制する薬等、患者様の病状に合わせて処方を行います。胃炎の症状に悩まれ、市販薬で対処する方もいらっしゃいますが、同じ胃炎の症状でも胃がん等の重大な病気の可能性もあります。胃炎の症状が続く場合には、速やかに専門医を受診されることを推奨しています。

ピロリ菌の除菌治療

ピロリ菌の感染が原因の胃炎には、ピロリ菌の除菌治療をしていきます。2種類の抗菌薬(アモキシシリン クラリスロマイシン)と胃酸を抑える薬(ボノプラザン)を組み合わせて7日間連続で内服する一次除菌を行います。1週間の服用によって、70〜80%の方は除菌に成功します。一次除菌治療で除菌できなかった場合は、抗菌薬のうちクラシスロマイシンをメトロニダゾールに変更した二次除菌の治療を行います。2回目までの治療によって、90%ほどの方が除菌に成功します。副作用としては下痢が多いため、当院では整腸薬を一緒に処方します。

ピロリ菌検査・除菌

生活習慣の改善

急性胃炎の改善と再発予防には、栄養バランスの取れた食事や適度な運動、質の良い睡眠が大切です。過度な飲酒や喫煙、食べ過ぎ、飲み過ぎ、刺激物の摂取は胃に負担がかかります。また、強いストレスも胃炎の原因になるため、ストレスを軽減することは大切です。

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