血便・便潜血陽性

血便が出た

便器の中に赤や黒の血が見えたことや、トイレでお尻を拭いた際に、ペーパーに血が付着したことはありませんか。痔ではないかと心配になっても、早急に受診される方が少ないのが血便です。実際には、痔以外にも食道や胃、大腸の病気である可能性があります。気になることがありましたらご相談ください。

血便が出たときには

血便には、血液が目に見える血便と血液が目に見えない血便があります。便潜血検査による診断が必要です。また、便に混じる血液の色は、一定ではありません。色から出血箇所を推測することができます。鮮やかな赤い色は、肛門周辺による出血、黒っぽい色は、食道や胃による出血の可能性があります。大腸ポリープや大腸がんの場合には、できものが便と擦れることによって出血します。便に血が混ざったものを発見した際には、早急にご相談ください。

肛門内科

便潜血検査で陽性を指摘されたら(一回だけ便潜血陽性だった…)

便潜血検査の陽性は、下部消化管(小腸・大腸)から出血が起こっていることを示します。進行大腸がんのスクリーニング検査として有用です。1日だけでは検出率が悪く2日法が行われていることが多いです。2日のうち1日でも便潜血陽性になった方の中には大腸がんの方は2パーセントいます。さらに便潜血陽性者の方に大腸内視鏡を行うと40%の人に大腸ポリープが偶然見つかり、ポリープを切除することにより大腸がんを予防します。当院では、大腸カメラ検査を行っていませんので、必要に応じて連携する医療機関をご紹介させていただきます。

便潜血検査陰性の方へ

便潜血陽性は進行大腸がんを道けるための検査としては有用ですが、小さながんや、がんになる前のポリープを見つけることはできません。大腸ポリープや大腸がん、進行大腸がんがある方も便潜血検査によって、陰性を示すことが指摘されています。そのため、健康診断で便潜血検査が陰性でも、あくまで目安にしておきましょう。定期的に、大腸カメラ検査を受診されることを推奨しています。兄弟や血縁者に大腸がんや大腸ポリープと診断された方がいる場合には便潜血の結果によらず、早めに大腸内視鏡の検査を受けましょう。

血便の原因

細菌に侵された食品を口にして、腸内で炎症を起こしたり、痔によるもの、小腸、大腸の病気によるもの等、血便の原因には様々なものがあります。血便の原因になる主な細菌では、鶏や卵からのカンピロバクター、生肉等からの病原性大腸菌、生魚からの腸炎ビブリオ菌、サルモネラ菌等があります。

肛門の病気

いぼ痔

いぼ痔は、肛門の内側に生じる内痔核と肛門の外側に生じる外痔核に分けられます。排便する際の過度のいきみや便秘、下痢、長時間のデスクワーク等の生活習慣が原因になる場合もあります。また、妊娠や出産等をきっかけに起こることもあります。鮮血になることが多いです。

切れ痔

切れ痔の多くは、便秘や下痢が続くことによって起こります。下痢を勢いよく排出した際や硬い便をいきんで排出した際に、皮膚が裂けて出血してしまい、便に混ざります。薬による治療以外にも、便秘や下痢の改善を行って、根本的に問題解決していく必要があります。再発を繰り返して慢性化すると、肛門ポリープや肛門狭窄等が起こる場合もあります。排便の際に激しい痛みを生じて、出血は便や紙につく程度で多くないことがほとんどです。

肛門ポリープ

切れ痔の治療をした後のケアが十分でなかった場合に再発を繰り返すと、肛門ポリープを併発する可能性があります。出血を起こすことはほとんどありませんが、肛門から脱出することもあります。注意しておきましょう。

大腸の病気

大腸ポリープ、大腸がん、直腸がん

大腸ポリープ、大腸がん、直腸がん等のできものと便が擦れることによって、出血を起こします。病変の部位により出血の状態は様々で、赤黒い出血や便と混じったような出血などが見られます。

直腸脱、直腸粘膜脱

直腸全体が反転して肛門外で脱出した状態を直腸脱といい、直腸粘膜が一部脱出した状態を直腸粘膜脱という。若年者では排便時のいきみが原因のことが多く、高齢者では老化現象による骨盤底筋の脆弱化が関与しているとされています。潰瘍を伴うこともあり血便になることがあります。

潰瘍性大腸炎

大腸の壁に炎症が起こり、びらんや潰瘍を伴って、そこから出血して便に混ざります。原因は、遺伝要因、食事、腸内細菌、免疫などが複合していると考えられていますが、現時点では、原因も分かっていないため、厚生労働省より難病指定を受けている疾患です。状態に合わせた内服治療を行っていけば、症状はある程度コントロールできて、日常生活を送ることが可能です。

大腸憩室出血

大腸の筋層が欠損した部位から粘膜が突出した状態で、内視鏡で見ると、凹みとすて観察されます。原因としては、食物繊維の接種低下や便秘による内圧亢進が関係しているとされています。高齢になるほど増加傾向にあり、多発することが多いです。
大腸憩室で血管が破れて起こる出血を大腸憩室出血といいます。腹痛を伴うことなく突然に鮮血、赤黒い多量に出血を認めた場合には憩室出血を疑います。特に近年高齢者で決秋をサラサラにする薬を投与されている場合も多く、自然止血することも多い一方で、約4割で再発します。

虚血性腸炎

大腸粘膜下の血管内で血流が悪くなって、大腸の粘膜が脱落し、縦走潰瘍となり出血が生じる場合があります。急激に発症する下腹部津、潜血便や鮮血が混じった下痢が特徴です。高血圧、糖尿病、高脂血症などによる動脈硬化性の生活習慣病をお持ちの方に多いです。

血便の治療法

血便があっても、全てが病気ではありません。僅かな炎症による出血等であれば、自然治癒することもあります。しかし、原因や出血箇所によっては、時間経過とともに慢性化したり、がんのように命に関わる病気が進行している可能性もあります。問診や検査により、原因を特定して、原因に対する治療を行っていくことが大切です。脱水症状や下痢症状がある場合は、同時に対処していき、できる限り二次的リスクを減らしていきます。大腸カメラ検査が必要な場合、連携する医療機関へご紹介させていただきます。気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。

血便の予防

血便を起こす疾患には、早期発見や予防することができるものがあります。有効な対応を行って、血便の症状を引き起こすまで進行させないようにしましょう。

TOPへ